General

データの見方

2007年10月28日

asahi.com より

大卒研究職社員の資質「期待上回る」は1% 文科省調査

研究職として採用した大卒・大学院卒社員の資質が「期待を上回る」と答えた企業はわずか1~2%台――文部科学省の「民間企業の研究活動に関する調査」で、こんな実態が明らかになった。「期待を下回る」は学士で約31%など、企業側は、基礎教育の不十分さや、独創性の不足に頭を痛めている。(asahi.com の記事より抜粋)

これだけ読むと、新入社員の能力が低いがために企業が困っているという印象をうける。でもね、考えられる可能性はそれだけじゃない。他の可能性として

1)企業の新入社員への期待度が、度を越して高すぎる。
2)新入社員を選定する人事部の能力が低い。
3)『いまどきの若い者は』と考える人は多いが、『部下が自分より優れている』と考える人は殆どいない。

などが考えられる。

期待を下回る理由は、学士では「基礎教育の内容・方法が不十分」が最も多く、修士や博士は「企業ニーズに無関心など企業研究者としての自覚に欠ける」が最多だった。ほかに「教科書や既成理論への偏重教育で独創性が育っていない」「隣接分野の教育が不十分」を挙げた企業も多かった。(asahi.com の記事より抜粋)

「基礎教育の内容・方法が不十分」と「教科書や既成理論への偏重教育で独創性が育っていない」とは完全に相反する内容。新入社員に何を求めているのか、さっぱり分からない。大卒には基礎教育を、大学院卒には独創性をと思っているのかもしれないが、そこまで割り切って考えているのか?「隣接分野の教育が不十分」も見当違い。大学院は、専門領域を深く掘り下げて研究・教育するところ。企業での研究に隣接する分野の知識が必要になれば、そのときに勉強すればよいだけのこと。「企業ニーズに無関心など企業研究者としての自覚に欠ける」って、そういう自覚は企業に入ってから養うものだろう。企業ニーズが何であるかということを、大学院で教育するべきだと思っているのだろうか?

ところで、「ほぼ期待どおり」は60%前後らしい。6割も期待通りの能力の社員が得られたのなら、大成功とまでは行かないかもしれないけれど、成功なのではと思う。発表されたデータの詳細を見ていないのでなんともいえないけれど、一部の企業が、ほとんどの社員が期待はずれという評価を下しているために、全体としてそういう値になっているのでは?

コメント

コメントはありません

コメント送信