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データの見方

2007年11月26日

タミフル関連での厚生労働省の見解について。

asahi.comより

タミフル投与、睡眠試験で「因果関係なし」 厚労省

厚生労働省の作業グループは21日、タミフル服用後の睡眠時の脳波の変化などを調べたところ、「現時点ではタミフルとの因果関係は認められない」とする臨床試験の中間報告を公表した。

20代前半の健康な男性11人にタミフルを投与したところ、睡眠時の異常行動は見られず、タミフル服用の有無と脳波の変化の関係も見られなかったという。試験は30人になるまで続ける予定。
(asahi.com より抜粋)

まず、asahi.com での記述に間違いがある。本文では、『因果関係は認められない』となっているが、表題では『因果関係なし』になっている。『認められない』という言葉は、『(存在するかもしれないが)発見できなかった』という意味で使われているはずだから、これを『なし』に変えるのは、明らかな間違いである。

次に、厚生労働省がやらないといけないことは、『因果関係が無い』ことの証明であって、『因果関係が有る』ことの証明ではない。にもかかわらず、30人というのは、データの数が少なすぎる。

日本のタミフル使用数は年間で、約1000万件だそうだ。一方で、異常行動の報告件数は、今回のasahi.comの記事によると、

また、同省に寄せられたタミフル服用後の異常行動の報告件数は、01年の発売から今年9月末までで282人に達した。5月末時点の集計では211人だった。

つまり5月末から9月末までの4ヶ月間に71人だから、年間で、約200人である。これは、全体(1000万人)の0.002%に過ぎない。仮に、報告された数の100倍の人に、測定可能な脳波の異常が見られるとしても、全体の0.2%である。30人の実験では、とても捕らえられないくらい、頻度が低い。

このような状況であるにもかかわらず実験を行い、何かを結論付けようというのだから、その結論は『タミフルは安全』と初めから決まっているとしか考えようが無い。それとも、『因果関係が在る』ことを証明しようと努力しているのだろうか?

同様のことは、地球温暖化を議論するときにも言える。温暖化対策をしなくても良いと主張する人たちがやらないといけないことは、『温暖化は人類の活動によるものでは無い』ことの証明。しかし、彼らが実際に行っていることは、『温暖化が人類の活動によることが証明できない』との主張。

温暖化対策は『人類の活動が温暖化の原因になっているかもしれない』から行うべきものであり、タミフルは『それが危険かもしれない』から高校生などの若者には投与してはいけないのではないか?

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