どこか生き生きとしていた大相撲九州場所
2018年11月26日
平成30年の九州場所は、貴景勝(敬称略、以下同様)の優勝で幕を終えた。この22歳の若者の優勝は、年6場所の制度になって6番目に若い力士による優勝だそうで、新しい時代の到来も感じさせる結果になった。ただ、貴景勝や阿武咲といった若い力士の活躍が目立っただけではなく、栃煌山や妙義龍らのベテランの力士達も含めて、場所全体が何か生き生きとした雰囲気に包まれていたように思う。なぜ生き生きとしていたかについて、その原因については思う所があるが、ここでは敢えて明言しない。
九州場所は、場所前から貴乃花部屋の解散とそれに伴う貴乃花部屋の力士達の千賀ノ浦部屋への移籍、白鵬・鶴竜2横綱の休場の発表など、色々な事があっての幕開けとなった。そんな中で印象的だったことがいくつか。一つは、一人横綱の稀勢の里が場所前の稽古でのインタビューに、爽やかなすっきりした様子で答えていたこと。今場所は一人横綱ということもあって、成果が問われる中でのあの様子であったから、よほど稽古の成果に自身が持てているのだろうと、あの時は思った。もう一つは、貴の岩や貴景勝らの千賀ノ浦部屋への移籍組が、あれほどの事件の準当事者であったにもかかわらず、新しい部屋でのびのびと、少し楽しそうにも見える様子で稽古を続けているさまが見られたことである。加えて、初日・2日目の解説からは、隠岐の海や碧山など、平幕力士らの良い仕上がりなども聞かれる中での、場所の始まりとなった。
場所前の稀勢の里の様子からは、一人横綱を中心にして場所が進んでいくのであろうと期待したが、違った。稀勢の里は初日から4連敗の後、怪我を理由に休場することとなり、横綱不在の場所となった。休場の理由は怪我だということになっているが、本当のところは、優勝をねらえるほどの準備が出来ていなかった事と結果が伴わないことが理由だと思われる。にもかかわらず、場所前の稀勢の里のあの生き生きとした様子は何だったのかと疑問を持つ結果に。
大関陣のうち、豪栄道は二日連続で下位の力士に立ち会いの変化での相撲の後1勝を上乗せして、なんとか勝ち越しの8勝まで行った所で怪我を理由に休場。栃の心も、8勝7敗でかろうじての勝ち越しとふがいない成績に終わった。豪栄道はともかく、栃の心はまだまだ伸びしろがあるし横綱もねらえる力を持っているので、来場所以降の奮起を期待している。私自身が新十両のインタビューで彼を見て以来のファンなので、今後も応援したい。高安は場所前の仕上がりの情報に違えて、千秋楽まで優勝争いに絡んできたことは、大関の責任を果たしたと言える。来場所は横綱昇進への可能性が少しばかりあるようなので、頑張って欲しい。
私は、場所中は幕の内の対戦をほぼ全て観戦している(十両も見たいのだが、海外での観戦は残念ながら難しい)。横綱不在の上、3大関のうち二人が早々に優勝戦線から離脱した中で、平幕や三役の力士達の活躍が中心となっていった。自ずから、解説もそういった彼らの取り口に付いての解説が注目されていくことになる。優勝した貴景勝はもちろんのこと、阿武咲・大栄翔・明生・錦木ら若手の力士の活躍はめざましかったし(錦木は年齢では中堅所だが、初めての上位対戦という意味で若手に加えた)、妙義龍・栃煌山・琴奨菊・松鳳山らのベテランや、隠岐の海・碧山・遠藤らの中堅所の力士達が沸かせた、中身の濃い場所だったように感じた。勝って良い成績を残した力士達も、思ったような成績が得られなかった力士達も、皆生き生きと相撲を取っていたように見えたのは、私だけだろうか。
貴景勝は東の小結だから、取り組み前も取り組み後も東の支度部屋を使うことになる。千秋楽では、自身の取り組み後も、優勝決定戦あるいは優勝セレモニーの為に、支度部屋に残って髷を結い直したり等の準備に追われていた。その途中でまわしを外して浴衣姿になったらしく、その様子が「風呂に入った」とアナウンサーに伝えられるなど(注:風呂に入ったというのは恐らく誤報)、リラックスした様子で支度部屋にいたことが伺える。これは、横綱不在の場所独特の様子なのでは無かろうか。横綱(とくに、最上位の東の横綱)は、支度部屋ではベストの場所を確保して、それ以外の力士は横綱に場所を譲りながら支度と後かたづけを行なうと聞く。横綱不在の場所では、そういったことを気にせず、のびのびと支度部屋を使えたであろう事が、容易に想像出来る。こういったことは、場所中多くの力士達が生き生きとしていたことと、少なからず関係するようにおもう。また、力士達が生き生きとしていたのは、場所直前や、場所序盤の横綱稀勢の里が東支度部屋を使っていた時からであったことを指摘しておきたい。
私としては、こういった力士達が生き生きした場所が今後も続くことを期待する。当然、相撲協会も同じ気持ちであろう。来場所がどうなるかはよく分からないが、近いうちに全ての力士達が今場所のようにのびのびとした相撲を毎場所取れる様になるのは明らかなので、早くそうなって欲しいと願う所である。
追記:私の今の一押しは、朝乃山です。がんばれー、朝乃山!目指せ、第二の北の湖の到来!
九州場所は、場所前から貴乃花部屋の解散とそれに伴う貴乃花部屋の力士達の千賀ノ浦部屋への移籍、白鵬・鶴竜2横綱の休場の発表など、色々な事があっての幕開けとなった。そんな中で印象的だったことがいくつか。一つは、一人横綱の稀勢の里が場所前の稽古でのインタビューに、爽やかなすっきりした様子で答えていたこと。今場所は一人横綱ということもあって、成果が問われる中でのあの様子であったから、よほど稽古の成果に自身が持てているのだろうと、あの時は思った。もう一つは、貴の岩や貴景勝らの千賀ノ浦部屋への移籍組が、あれほどの事件の準当事者であったにもかかわらず、新しい部屋でのびのびと、少し楽しそうにも見える様子で稽古を続けているさまが見られたことである。加えて、初日・2日目の解説からは、隠岐の海や碧山など、平幕力士らの良い仕上がりなども聞かれる中での、場所の始まりとなった。
場所前の稀勢の里の様子からは、一人横綱を中心にして場所が進んでいくのであろうと期待したが、違った。稀勢の里は初日から4連敗の後、怪我を理由に休場することとなり、横綱不在の場所となった。休場の理由は怪我だということになっているが、本当のところは、優勝をねらえるほどの準備が出来ていなかった事と結果が伴わないことが理由だと思われる。にもかかわらず、場所前の稀勢の里のあの生き生きとした様子は何だったのかと疑問を持つ結果に。
大関陣のうち、豪栄道は二日連続で下位の力士に立ち会いの変化での相撲の後1勝を上乗せして、なんとか勝ち越しの8勝まで行った所で怪我を理由に休場。栃の心も、8勝7敗でかろうじての勝ち越しとふがいない成績に終わった。豪栄道はともかく、栃の心はまだまだ伸びしろがあるし横綱もねらえる力を持っているので、来場所以降の奮起を期待している。私自身が新十両のインタビューで彼を見て以来のファンなので、今後も応援したい。高安は場所前の仕上がりの情報に違えて、千秋楽まで優勝争いに絡んできたことは、大関の責任を果たしたと言える。来場所は横綱昇進への可能性が少しばかりあるようなので、頑張って欲しい。
私は、場所中は幕の内の対戦をほぼ全て観戦している(十両も見たいのだが、海外での観戦は残念ながら難しい)。横綱不在の上、3大関のうち二人が早々に優勝戦線から離脱した中で、平幕や三役の力士達の活躍が中心となっていった。自ずから、解説もそういった彼らの取り口に付いての解説が注目されていくことになる。優勝した貴景勝はもちろんのこと、阿武咲・大栄翔・明生・錦木ら若手の力士の活躍はめざましかったし(錦木は年齢では中堅所だが、初めての上位対戦という意味で若手に加えた)、妙義龍・栃煌山・琴奨菊・松鳳山らのベテランや、隠岐の海・碧山・遠藤らの中堅所の力士達が沸かせた、中身の濃い場所だったように感じた。勝って良い成績を残した力士達も、思ったような成績が得られなかった力士達も、皆生き生きと相撲を取っていたように見えたのは、私だけだろうか。
貴景勝は東の小結だから、取り組み前も取り組み後も東の支度部屋を使うことになる。千秋楽では、自身の取り組み後も、優勝決定戦あるいは優勝セレモニーの為に、支度部屋に残って髷を結い直したり等の準備に追われていた。その途中でまわしを外して浴衣姿になったらしく、その様子が「風呂に入った」とアナウンサーに伝えられるなど(注:風呂に入ったというのは恐らく誤報)、リラックスした様子で支度部屋にいたことが伺える。これは、横綱不在の場所独特の様子なのでは無かろうか。横綱(とくに、最上位の東の横綱)は、支度部屋ではベストの場所を確保して、それ以外の力士は横綱に場所を譲りながら支度と後かたづけを行なうと聞く。横綱不在の場所では、そういったことを気にせず、のびのびと支度部屋を使えたであろう事が、容易に想像出来る。こういったことは、場所中多くの力士達が生き生きとしていたことと、少なからず関係するようにおもう。また、力士達が生き生きとしていたのは、場所直前や、場所序盤の横綱稀勢の里が東支度部屋を使っていた時からであったことを指摘しておきたい。
私としては、こういった力士達が生き生きした場所が今後も続くことを期待する。当然、相撲協会も同じ気持ちであろう。来場所がどうなるかはよく分からないが、近いうちに全ての力士達が今場所のようにのびのびとした相撲を毎場所取れる様になるのは明らかなので、早くそうなって欲しいと願う所である。
追記:私の今の一押しは、朝乃山です。がんばれー、朝乃山!目指せ、第二の北の湖の到来!