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エボラウイルスの無毒化に成功

2008年1月23日

asahi.comより

感染すると致死率の高いエボラ出血熱の原因となるエボラウイルスを遺伝子操作で無毒化することに、東京大医科学研究所の河岡義裕教授らのグループが成功した。

河岡教授らは、エボラウイルスの八つの遺伝子のうち、増殖に欠かせないVP30という遺伝子を取り除いたウイルスを作った。ヒトには感染せず、この遺伝子を実験用のサルの細胞に組み込むと作ったウイルスが増殖することを確認。


エボラはインフルエンザよりも数倍(千倍?)怖いので、注目の研究結果。

原著は、こちら。ここで作成したウイルスは、増殖に必須な遺伝子を欠くので、通常そのままでは増殖できず、病原性は出ない。ただし、原著で著者らも気にしていることなのだけれど、この変異型ウイルスをここで言う『実験用のサルの細胞』で増やしているうちに、病原性のあるウイルスが出てしまう可能性が完全に否定されたわけではない。ただし、今回の論文では、そういったことは簡単には起こらないことは示されている。

今までP4施設でしか実験できなかったものが、P3で実験できるようになる可能性があり、そうなると研究者人口も増えるだろうから、今後の飛躍に期待したい。

ところで、Googleで『エボラ』の検索語で調べると、こんな記事が。

なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?

なんじゃ~、それは?と思い、PubMedを調べてみると、確かに報告がある。

Ebola virus antibody prevalence in dogs and human risk.
Allela et al., Emerg Infect Dis. 2005 Mar;11(3):385-90


読んでみたけれど、まあ、おそらく問題ない。その理由は、以下の通り。

1)検出されたのは抗エボラ抗体であって、ウイルスそのものではないこと。
2)続報が出ていないこと。
3)感染地域の野良犬であれば、エボラに感染したサルなどの肉を食べている可能性が高く、もしそうならば大量にウイルスを摂取していることになる。この状況であれば、仮にエボラウイルスが犬の体内で全く増殖できなくても、容易に抗体が出来ること。

あ、ただし、エボラ感染地域では犬は怖いかも。エボラに感染したサルの肉を食べた直後の可能性があるから。

エボラの怖さを実感したい人は、『ホットゾーン』必読。

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