General

The Robot Scientist ?

2009年4月21日

4月3日付のScience誌より

The Automation of Science

The basis of science is the hypothetico-deductive method and the recording of experiments in sufficient detail to enable reproducibility. We report the development of Robot Scientist "Adam," which advances the automation of both. Adam has autonomously generated functional genomics hypotheses about the yeast Saccharomyces cerevisiae and experimentally tested these hypotheses by using laboratory automation. We have confirmed Adam's conclusions through manual experiments. To describe Adam's research, we have developed an ontology and logical language. The resulting formalization involves over 10,000 different research units in a nested treelike structure, 10 levels deep, that relates the 6.6 million biomass measurements to their logical description. This formalization describes how a machine contributed to scientific knowledge.

Science誌と図書契約を結んでいる大学からなら、論文自身上記リンクからダウンロードできる。もし論文が読めなくても、著者らが公開している次のサイトから、多くの情報は得られる(稼働の様子を映したビデオ有り)。

The Robot Scientist

論文の題名を訳すと、『科学の自動化』。著者のwebサイトのタイトルを訳すと、『科学者ロボット』というところか。これらのタイトルから想像するに、鉄腕アトムのようなサイボーグが白衣を着て研究している姿が思い浮かぶかもしれないが、このロボットの形状は2-3m四方のフレームに囲まれた測定装置の塊である。

このロボットは、パン酵母の代謝系に関する実験を行っている。やっていることは、

1)フリーザーに保存されているパン酵母ライブラリ(おそらく、遺伝子のそれぞれに点突然変異を一つだけ持つ株を多数そろえたもの)から、株をピックアップする
2)ピックアップした株から、over night培養液を作成する
3)作成したover night培養液の一部を、さまざまな種類の最小培地(minimal synthetic dextrose medium plus up to four added metabolites from a choice of six)に植える
4)培地中での増殖速度を測定する
5)1に戻る

らしい。20の遺伝子を調べて、そのうちの3つの遺伝子がコードするが酵素の活性を予測した結果、別途行った生化学実験の結果と一致したそうな。

このロボットを、科学者ロボットと呼ぶか実験ロボットと呼ぶかは、議論の分かれるところだろう。ここで行われたことを研究として捉えた場合、このロボットの設計・組み立て及びどんな課題を与えるかをすべて含めて研究と捉えないといけないので、実際に研究を行ったのはロボットではなく論文の著者らである。

実験も内容によっては、ほとんど同じだが少しずつ内容の異なる実験を毎日毎日延々と繰り返さないといけないような場合があるので、そういったときにこのようなロボットが使えれば、便利だと思うけれど。

早い話が、ロボットテクニシャンかな、これは。

コメント

hsur (2009年4月22日 00:30:58)

シミュレーションをコンピューターの中ではなくロボットを使って現実の世界で自動的に行うという発想がとても面白いですね。

ソフトウェアが専門の自分はProgrammer's apprenticeというプロジェクトがあったのを思い出してしまいました。。。

Katsumi (2009年4月23日 15:35:51)

その、『Programmer's apprentice』というのを検索してみてみました。おっしゃるプロジェクトでやろうとしてることは、この研究よりもずいぶん発展した内容のように思えました。

このロボットの思考部分は、もう少し簡単なもののようです。詳しくは調べていませんが、実験結果をもとに次の実験を組み立てるような、プログラムのようです。むしろ、自動的に実験を行う装置の方が、目を見張るものがあります。

コメント送信