MachiKania

MachiKania type PU を公開

2024年12月28日

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MachiKania type PU を、公開しました。
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MachiKania type PU は、MachiKania type P の姉妹バージョンです。type P は、ILI9341 等の液晶ディスプレイに表示しますが、type PU では NTSC のビデオ画面に表示するようにしました。これにより、大画面での表示が可能になりました。

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液晶ディスプレイではなく NTSC ビデオ出力にした事で、回路が type P より簡潔になっています(回路図は、GitHubページのpuerulusの項を参照)。NTSC ビデオ出力は、抵抗1本とコンデンサー1個の簡単なものです。上の写真は、私の type PU のプロトタイプ版です(Raspberry Pi Pico は、外してあります)。Pi Pico 用のソケット以外は、micro SD のソケット、NTSC 用のプラグ、タクトスイッチ、圧電ブザーと、少数の抵抗・コンデンサーだけです。

XIAO-RP2040 等のピン数が少ない基板でも画面表示が出来るようになったので、これらの小さな基板を使った組込み開発が容易になりました。現在の所、次のマイコン基板に対応しています。

・Raspberry Pi Pico
・Raspberry Pi Pico W
・Raspberry Pi Pico 2
・Seeed studio XIAO RP2040
・Pimoroni Tiny 2040
・Waveshare RP2040-Zero
・Seeed studio XIAO RP2350
・Pimoroni Tiny 2350
・Waveshare RP2350-Zero

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また、type P と同様、USB キーボードに接続可能です。これにより、MachiKania type PU・NTSC モニター・USB キーボードによるスタンドアローンな BASIC プログラム開発環境を構築することができます。BASIC は今まで通りコンパイラーなので、高速実行が可能です。

開発裏話

Type PU 開発のきっかけは、Twitter でらびやんさんの、Raspberry Pi Pico による NTSC ビデオシグナル作成デモを見た事です。
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これを、なんとか MachiKania に取り込めないかと言う事で、らびやんさんとライセンスの交渉をし、MIT ライセンスとして使わせていただくことができるようになりました。

その後、ケンケンさんと私の双方で、この NTSC ビデオ信号プログラムを MachiKania に取り込む方法を模索しました。ケンケンさんは Raspberry Pi Pico の1ボードで MachiKania と NTSC ビデオルーチンの両方を実装、私は、2枚の Raspberry Pi Pico ボードをそれぞれ MachiKania と NTSC ビデオルーチンに割り当てて並列で実行する方法です。最終的にケンケンさんがうまく行った方法を取り入れる事になりました。

この、NTSC 版 MachiKania の開発コードは、ケンケンさん命名で、"puerulus"です。Wikipediaによると、puerulusというのはイセエビの幼生で、phyllosoma から一段発生が進んだものらしいです。MachiKaniaの開発コードは、nauplia -> zoea -> megalopa -> phyllosoma -> puerulus と、甲殻類の発生をなぞっています。ちなみに、MachiKania は、待兼山と言う地名にちなんだ造語です。

MachiKania のソースコード管理はずっとオープンでやってきて、初期のころは SVN で、今は Git(GitHub) でソースコードの管理を行っています。puerulus のソースコードと phyllosoma のソースコードで異なるのは、モニター表示部分だけ(NTSC 出力か LCD 出力か)です。ソースコードを別々に管理すると、今後のアップデートの際に同じ変更を両方のコードに対して行う事になり、煩雑なだけでなく、思わぬバグを混入してしまう原因となります。そこで、puerulus のソースコードと phyllosoma のソースコードを統合して一つにし、config の設定を変えることで type PU をビルドするのか、type P をビルドするのか、選択できるようにしました。Type PU の公式版の公開が、ケンケンさんのテスト版の公開から3か月以上遅れたのは、統合化に時間がかかったのが大きな理由です。ソースコードの統合により、Pico だけでなく Pico 2 にも対応できることが分かり、それによる微修正等を行っていたこともありますが。

MachiKania type PU の正式公開に伴って、同じ NTSC ビデオ出力版の type Z とtype M の開発を終了する事になりました。もともと、ずっと新規バージョンを公開していなかったので、実質的に開発は中断状態だったのですが、ケンケンさんとの相談で、完全に開発停止する事になりました。

今後の MachiKania の発展は、type P と type PU で行っていくことになります。使っていただいている皆様、今後とも、MachiKania をご贔屓に、よろしくお願いします。

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