ノーベル賞とると寿命2歳延びる?
2007年2月2日
www.asahi.com より、
ノーベル賞をとると寿命が約2歳延びる――。こんな研究結果を、英ウォーリック大学のアンドルー・オズワルド教授らがまとめた。
ふーん、そうなのか…。
でも、ちょっと待った!こういった報道を見るたびに感じることがある。これは、
ノーベル賞をとったから寿命が延びた
のか、
寿命が他の人より長くなるくらい元気な人だからノーベル賞をとった
のか、どっち?
この件に関する原著は、探してみるとここにあった。Abstract には
the paper concludes that winning the Nobel Prize, rather than merely being nominated, is associated with between 1 and 2 years of extra longevity
とある。つまり、ノーベル賞をとった人のほうが、ノミネートされただけの人より寿命が平均で2年長いという相関関係があるということである。しかしながら、相関関係があるということとどちらが原因でどちらが結果かということは、まったく無関係のはずだ。つまり、一般的な例で説明すると、
Aと、Bの間に相関関係がある
という観察結果から、
Aが原因で、Bが起きた
と結論付けてしまっているようなものである。実際には、他の可能性もある。例えば、
Bが原因で、Aが起きた
とか、
別の事柄(Cとする)が原因でAが起き、同時にCが原因でBも起きた
というようなことが考えられる。
上記の論文を簡単にざっと眺めてみた感じでは、『ノーベル賞の受賞とすこし長めの寿命の間に相関関係が見られる』ということは示せていても、『ノーベル賞をとったから寿命が延びた』ことが示せているようには見えなかった。例えば、ノーベル賞をとるくらいバイタリティのある人ならば、そのバイタリティのために寿命が1-2年延びたっておかしくない。論文の中でそこまで議論されているようには見えなかった。
かく言う私だって、『ノーベル賞をとる』→『社会的なステータスが上がる』→『寿命が延びる』というのは、ありえる話だとは思う。しかしながら、この論文で示されているデータで、ノーベル賞をとった事が『原因』で寿命が延びたとは結論付けられないはずだとも思う。
似たようなロジックでの結論のこじつけは、しばしば見られるけれど…。
ノーベル賞をとると寿命が約2歳延びる――。こんな研究結果を、英ウォーリック大学のアンドルー・オズワルド教授らがまとめた。
ふーん、そうなのか…。
でも、ちょっと待った!こういった報道を見るたびに感じることがある。これは、
ノーベル賞をとったから寿命が延びた
のか、
寿命が他の人より長くなるくらい元気な人だからノーベル賞をとった
のか、どっち?
この件に関する原著は、探してみるとここにあった。Abstract には
the paper concludes that winning the Nobel Prize, rather than merely being nominated, is associated with between 1 and 2 years of extra longevity
とある。つまり、ノーベル賞をとった人のほうが、ノミネートされただけの人より寿命が平均で2年長いという相関関係があるということである。しかしながら、相関関係があるということとどちらが原因でどちらが結果かということは、まったく無関係のはずだ。つまり、一般的な例で説明すると、
Aと、Bの間に相関関係がある
という観察結果から、
Aが原因で、Bが起きた
と結論付けてしまっているようなものである。実際には、他の可能性もある。例えば、
Bが原因で、Aが起きた
とか、
別の事柄(Cとする)が原因でAが起き、同時にCが原因でBも起きた
というようなことが考えられる。
上記の論文を簡単にざっと眺めてみた感じでは、『ノーベル賞の受賞とすこし長めの寿命の間に相関関係が見られる』ということは示せていても、『ノーベル賞をとったから寿命が延びた』ことが示せているようには見えなかった。例えば、ノーベル賞をとるくらいバイタリティのある人ならば、そのバイタリティのために寿命が1-2年延びたっておかしくない。論文の中でそこまで議論されているようには見えなかった。
かく言う私だって、『ノーベル賞をとる』→『社会的なステータスが上がる』→『寿命が延びる』というのは、ありえる話だとは思う。しかしながら、この論文で示されているデータで、ノーベル賞をとった事が『原因』で寿命が延びたとは結論付けられないはずだとも思う。
似たようなロジックでの結論のこじつけは、しばしば見られるけれど…。